水ノ宮の陰陽師と巫女

スッと符は女に向かって飛んで行った。

が、女の前に立ったサクラの額に、符が体に張り付いてしまった。

「いやぁぁぁぁ!」

絶叫が響き渡る。

「サクラ!なんで!」

女はサクラを盾にしたため苦痛の悲鳴を上げたのだ。

不気味にくつくつと笑いながら女は

「だから言ったであろう。こやつらは我の僕だと。そして今はこやつらは、我の操り人形。我の前にこやつらを盾にしたら、お前は手を出せるはずは、ないだろう?」

万事休す、手を出せば、クラスの女子をケガをさせてしまう可能性がある。いくら異空間だとしても……。

現世に戻ったとしても記憶は残らずとも、ケガをした場合、その跡は残る。時間が経てば傷痕は消えたとしてもこの場にいては、守れるものも守れない。

どうする……。私の脳は沸騰しかけて湯気が出そうになっていた。

冷静さを取り戻そうと焦っていた。しかし考えている暇はない。とにかく退治しなければ。倒さなければいけない。とにかく間合いに入らなければ、今のように符は誰かを盾にして避けられてしまう。

とにかく間合いに入る!と、脳で判断した瞬間、足と体は動き始めていた。女の間合いに入るために、隙を作り、調伏するチャンスを作るために駆け出していた。

女の周りに人質(クラスメイト)が壁を作っている。

「お前たち、あの者をやれ(殺せ)!」

と、声を荒げにして女は命じた。

女に近づこうものなら、彼女たちは私に襲い掛かってくる。

鋏を持ち襲い掛かるもの、飛びかかって来る者、全てをよけながら間合いを縮めて行った。