先生が自分から離れて行く瞬間、私は指で切印を組んだ。
もごもごした口から、周りに聞こえないほどの声で
「悪鬼上離 陣」(アッキジョウリ ジン)
唱えたあと、切印を先生と女の間に向け、上から下へと向けて切り離そうとした。
その瞬間、ばしぃぃぃんと、何かがぶつかる音がし、先生と女の間に透明な、板のように見える結界が張られた。
「ぎゃぁぁ!」
と、蠢く声とともに、女は私の方に振り向き
「き、貴様……、今何をした……」
ジッと楓は女を見つめ、脳内から声を出した。
「ただ結界を張っただけよ。あなたを離すためにね」
ただならぬ顔をこちらに女は向け、怒りを顕わにした。
「おのれ、我の邪魔をするというのか!許さん!許さん!許さぬぞ!」
悲鳴にも近い甲高い声で女は叫び狂い出した。
「我が主の為に……。我の邪魔するものは容赦はしない」
そう言うと、バシバシバシィィィィと音と共に、教室内の壁がが赤紫色に変わっていく。
床も白っぽいタイルから乾いた土気色へと変化し始めた。
女が異界を作り始め、その地はすぐにできた。
不気味な赤紫色の空間。地面は土くれで荒れ果てた状態。草がいくらか生えているが、ヒビ割れた荒地に小さな石がいくつか転がっている。壁だったはずの場所は小高い岩で覆い尽くされ、さらに先も赤紫色の空が広がっている。
周りを見ると杭が幾重にも立ち、小さな石が置かれていた。
どうやらそこは墓地のようだ。
楓はふっと笑みを浮かべ、女の方を見た。
「ここなら、誰かを気にしてあなたを、野放しにする必要はないわね」
もごもごした口から、周りに聞こえないほどの声で
「悪鬼上離 陣」(アッキジョウリ ジン)
唱えたあと、切印を先生と女の間に向け、上から下へと向けて切り離そうとした。
その瞬間、ばしぃぃぃんと、何かがぶつかる音がし、先生と女の間に透明な、板のように見える結界が張られた。
「ぎゃぁぁ!」
と、蠢く声とともに、女は私の方に振り向き
「き、貴様……、今何をした……」
ジッと楓は女を見つめ、脳内から声を出した。
「ただ結界を張っただけよ。あなたを離すためにね」
ただならぬ顔をこちらに女は向け、怒りを顕わにした。
「おのれ、我の邪魔をするというのか!許さん!許さん!許さぬぞ!」
悲鳴にも近い甲高い声で女は叫び狂い出した。
「我が主の為に……。我の邪魔するものは容赦はしない」
そう言うと、バシバシバシィィィィと音と共に、教室内の壁がが赤紫色に変わっていく。
床も白っぽいタイルから乾いた土気色へと変化し始めた。
女が異界を作り始め、その地はすぐにできた。
不気味な赤紫色の空間。地面は土くれで荒れ果てた状態。草がいくらか生えているが、ヒビ割れた荒地に小さな石がいくつか転がっている。壁だったはずの場所は小高い岩で覆い尽くされ、さらに先も赤紫色の空が広がっている。
周りを見ると杭が幾重にも立ち、小さな石が置かれていた。
どうやらそこは墓地のようだ。
楓はふっと笑みを浮かべ、女の方を見た。
「ここなら、誰かを気にしてあなたを、野放しにする必要はないわね」

