ふわっとした衣を纏い、銀色の長い髪が、生暖かい風になびいている。

「まさか……」

心の中でつぶやいた。

銀色の髪をなびかせたものは、列の先頭をゆらゆらと、前へ前へとゆっくりと進んでいる。

ふわふわと揺れながら。

仮装の衣装とは全く別のものが、なぜか先頭を抑えたように、ゆっくりと、進んでゆく。

だが、この者に気付いている人は、他に誰もいないようだ。

橋を渡りきる辺りで、この者は、一瞬こちらの方を見て、かすかに笑ったような口元をし、すっと川のほうへと消えて行った。

我に返った私は、その者が消えるまで、目が離せなかった。


――霊体。


見慣れているはずなのに……、目が離せなかった。

そう頭で考えながら、仮装行列は学園へと戻ってきた。

「学園に入ったわけでもないし、まぁ、いっか……」

見た者は、後でどうにかしなければならないが、学園内に入ったわけではないし、今のところ誰かが被害を受けたわけでもない……。と、頭の中で、見た者を整理しつつ、今は学園祭最後の仮装行列最後のパートのことを考え準備をし始めた。