「じゃあ、今日はもう出るか。」



裕太がそう言ったのは、このあとにどこかに寄ろう、という意図だろう。



誰からともなく、それぞれの機材をしまい始めた。







「あ、兄ちゃん。」



スタジオを出てロビーに行くと、他の大学生くらいの人と一緒にいる人がいた。



よく見れば、恵と顔が似ていた。



そう、それが恵の兄、柴崎 遥(ハルカ)である。



恵が大人になったらこんな感じ、という人だった。




「ああ、遥さん。こんにちは。」



遥がこっちに気づいたため、裕太はお辞儀をした。