「…なに?」
真昼は少しだけびくつく。
何を言われるのか、検討がつかない。
そこで裕太は、目を上げた。
「…これ出すの、結構渋ってたよね。なんで?」
なんで?なんでってそりゃ────
真昼は頭が混乱した。
裕太は何が知りたいのか。
わからない。わからない──
だが、自棄になって渡した手紙を思い出し、気持ちはまた自棄になった。
「……───渡したら裕太、その子と付き合っちゃうと思って、」
裕太の目が見開かれたのが見えた。
心底驚いているような、さっきのとは少しちがうような…──
「っ……!」
真昼はその空気に耐えられなくなって、くるりと踵を返して走り出した。
マンションのホールはすぐそこだ。
「真昼っ───!」
裕太の声には、今は、振り向けなかった。
真昼の後ろで、ガラスのドアが閉まる音がした。

