やはり、少しだけ、渡したくない気持ちが勝つのだ。
ユカは男子受けもいいし友達も多いから、もしかしたら、というのも大いにある。
裕太のことだから、きっぱりとは断らないような…やんわり、優しく振るような感じがする。
それを考えると……
真昼が悶々としている間にも、家は近くなって来るのであった。
「───…はい。ここでいい?」
真昼の家はマンションなので、玄関口前で自転車が止まる。
「あ、うん…」
真昼はまだ、迷っていた。
あのときはサラッと渡してやろう、とか考えていたのに。
いざそうなると渡せない。
──すると、
はあっと、裕太が大きく息を吐いた。
驚いて顔を上げると、裕太は自転車から降りてスタンドを立てていた。

