奏大が運転手に行き先を告げ、車は動き出した。
何となく、先程のやり取りからか、花菜から話しかけることができず、車内は気まずい雰囲気に包まれていた。
そんな2人の様子に気付いた運転手が、話しかけてきた。
「お客さんは、旅行で来たのかい?」
「えぇ…」
「夏休みだもんな~。それで、こっちには何泊するんだい?」
「仕事が長期間休めなかったので、今回は3泊です」
「そうかそうか」
「どこかオススメの場所とかありますか?」
「オススメかぁ~。…観光できたなら、一度は美ら海水族館には言って欲しいな」
「なるほど…」
「あとは…」
終始、タクシーの運転手と奏大が話しており、花菜は相槌しているだけであった。