「あっ…怒ってる?」 「いや…」 「おでこに皺が寄ってるよ?」 「怒ってはない。だから花菜は気にしなくていい。旅行を楽しむんだろう?」 「でも…」 「ほら、いつまでもここにいるわけにはいかない。そろそろ移動しよう」 「うん。…ごめんね、奏くん」 奏大は花菜に微笑むと頭を撫でた。 そして、花菜の手を握ると、タクシーに乗り込んだ。