ラストコール

それから、何年、何十年と月日が流れて、妻もできた。
子供もできたし、孫の顔も見た。
妻は、忘れられない人がいると言った僕を受け入れてくれた。

思い残すことなんてなかった。

妻より先に旅立った僕は、川でたたずむ彼女を見つけた。

あの時と同じ姿で、携帯を握り締めている彼女を。

「…――」

君が、振り向く。

「誠ちゃん…っ」

「未歩…」

僕もあの時と変わらない姿で。


君を抱きしめた。