危ないな……もうちょっとで俺の制服に
かかる所だったんですけど。
「ゲホッ……ご、ごめ…」
「? なんでそんなにむせてんの」
むせる所でも、野菜ジュースを噴く所で
もなかったのに。
怪訝そうに吉馬を見ると、やっと少し落
ち着いてきたのか、吉馬がふう、とため
息をついた。
それから、口元を拭って、俺を見る。
「……えっと、因みにその感情が、どう
いうものかはわかんねーの?」
「わかんないから理解不能なんだろ」
わかってたら、"理解不能な感情"なんて
曖昧な言い方、しないし。
そう言うと、吉馬は顎に手を当てて、何
かを考える仕草をしてから。
「ふーん?皐がねぇ……?」
と、ニヤニヤとわらいはじめた。
どこか含むようなその言い方に、ちょっ
とムッとしながら、吉馬を見る。
「……なんだよ」


