優しいよ、と本当の事を言っただけなの
に、何いってんの、とでも言いたげな目
線を送ってくる律希ちゃん。
これっぽっちも信じてくれてないのが、
丸分かりだった。
「だから、離宮君……優しいよ?」
「まさか。相変わらず、女子にはキツい
よ」
そ、そうなの?
「でも……冷たくは、ないもん……」
そりゃね、目に見えて優しいわけじゃな
いけど。
おはようって言えば、おはようって返し
てくれるし。教えるのも、すごく丁寧だ
し。
「ちょっと分かり難いだけだよ、きっと
」
そう言うと、律希ちゃんは、少し考える
ような仕草を見せてから、
「……それってさ、杏子限定とかじゃな
い?」


