いきなり低い声で呼ばれて、ビクッと肩
が跳ねる。
あれ……?
さっきまで甘えてるみたいな声だったの
に……あれ?
きょとんとしていると、不意に皐君から
解放された。
あ、自由になった!と思っていたら。
「杏子。こっち向いて、座って。ここに
」
そう言いながら胡座をかいて、両膝をパ
ンパンと叩く皐君。
立ち上がった私は、目をまん丸にしなが
ら皐君を見ていた。
え……。
「ええっ!?」
つつつ、つまり、さっきの後ろからぎゅ
うの状態を、前からぎゅうの状態にする
と!?や、ぎゅうはしないかもだけど。
それに……皐君の膝の上、なんて……。
「わ、私、重いから……」
「絶対平気。早くして」


