やだ。やだよ、皐君。
お願いだから。お願いだから、もう。
……これ以上、期待させないで──。
「皐君……っ、」
「──好きだ」
どれだけ力を入れても離してくれない皐
君に、離して、と請うように名前を呼べ
ば、被されたのはそんな言葉で。
──え?
頭が、真っ白になった。
皐君……何を、言ってるの?
この状態と状況で……そんな冗談、笑え
ないよ……?
思わず抵抗することも忘れていると、更
にぎゅう、と抱き締められる。
皐君から届く心臓の鼓動があまりに速い
から、勘違いしてしまいそうになった。
「俺、杏子が好き。ずっと好きだった」
「さ、皐君……」
「誰にも渡したくない。誰にも触れさせ
たくない」


