【杏子side】
───バンッ!
「もう、逃がさないから」
そう言いながら、ギラギラと瞳をギラつ
かせる皐君に、冷や汗が背中を伝った。
今現在、何故か廊下の壁に、皐君に押し
付けられてる状態。
逃げようにも、両手を壁に押さえつけら
れてて、身動きがとれなくて。
なんで、こんなことになってるんでしょ
うか……。
事の発端は、二十分前だった。
「───杏子」
帰りのHRが終わり、帰ろうと立ち上が
った瞬間、聞こえてきた声にビクリと肩
を震わせた。
……いやいやまさかね。
こんなとこまで来てるわけないし。きっ
と幻聴だ、うん。


