だってだって、なんか抱きしめられちゃ ってるし。 すごく、距離が近いから。 こんなに近くに皐君が居るのは本当に久 しぶり。 「……だって杏子、凌斗と抱きしめあっ てたじゃん」 少し唇を尖らせて、拗ねたようにそう言 う皐君。 「え……?」 だ、抱きしめ……? 「……結構前。教室で、見た。杏子も、 好きになってくれてありがとうみたいな 事、言ってたし」 ……教室で……。 好きになってくれてありがとう……。 「……ああ!」 あれだ。 それはきっと私が凌斗君の告白を、お断 りした日の事だ。