皐君に絡み付く腕。



私なんかじゃ到底敵いそうもないような
美人な女の人……。



「律希ちゃん……」

「ん?」

「恋って苦しいんだね」



そう言うと、律希ちゃんは少し笑って、
目を伏せた。



「うん。……つらいよ」



◆◆◆



「───で、なんで杏子ってば、王子を
避けてるの?」



それから一週間後のある日。



お昼休みに、律希ちゃんが呆れたように
そう聞いてきた。



その質問に、思わず、う、と声を詰まら
せてしまう。



「だ、だって……」