「ほんと、最初あのふざけた点数見たと
きはどうしてやろうと思ったけど」
ニッコリ笑顔のまま、ワントーン低くし
た声でそう言うから、笑顔がひきつった
。
ほんと……あのままだったら私、死んじ
ゃってたかもしれない。
皐君には感謝してもしたりないよね。命
の恩人だもの。
「ていうかこれならもう、家庭教師もい
らないんじゃない?」
テストの答案用紙を私に返しながらそう
言ったお母さん。
……え?
ドクン、と冷や汗が出るような、嫌な動
悸がした。
目を見開いて思わず固まる私に、お母さ
んは尚も続ける。
「だってもうこんなに点数いいじゃない
。もう皐君のお手伝いも必要ないでしょ
?」
「え……」
「皐君だって高校生だし、ほんとはやり
たいこといっぱいあるでしょうし。悪い
なとは思ってたのよね」
そろそろ引き際かしらね、と呟きながら
キッチンに消えていったお母さん。


