そんな私を、皐君が怪訝そうに見つめる




「俺の話、聞いてた?」

「え、あ……」

「杏子がわからないっていうから解説し
てるんだけど」

「う……。ご、ごめんなさい……」



そうだよね。


皐君はわざわざ自分の時間削ってまで、
お勉強見ててくれてるんだもん。



しっかりしなくちゃ!



よし、と心の中で渇を入れて、皐君の言
葉に耳を傾ける。



それでも、心臓は、甘い高鳴りを続けて
いたけれど。



◆◆◆



「如月、すごいじゃないか」



そんな十月のある日。



今日はテスト返しの日で、名前を呼ばれ
てテストを取りに行くと、先生が笑顔で
そういってくれた。



「え?」