「……」
思わず舌打ちしそうになる気持ちを、シ
ャーペンを握る力を強めて押し殺した。
窓の外、杏子の傍に寄っていく男……は
、確か萱島とかいう奴と……凌斗。
萱島は別にいい。
多少ムカつくが、確か他校にラブラブの
彼女が居るとか、吉馬が言ってた。
だけど、凌斗は───。
基本的、俺と凌斗は好みが似てるんだ。
女に関しては知らねーけど。いや、俺が
女を嫌いだったんだから、知るはずもね
ーけど。
だけど他の事……例えば、好きな食い物
とか、テレビ番組とか……小さい頃から
似てた。
正直言うと、気が気じゃない。
……ていうか、もうもしかしたら──。
───キーンコーン……。
ぐるぐる巡る思考が止まらなくなり、最
悪のパターンを思い浮かべた瞬間、チャ
イムが鳴った。


