【皐side】
「あ、杏子ちゃん達がいるー!」
ふと、授業中、吉馬が俺の背中を叩いて
そう言ってきた。
吉馬に倣うようにして窓の外を見れば、
どうやら体育をやってるらしい杏子と笹
野。
「やー、かっわいーなぁ、杏子ちゃん」
頬杖をつきながら、だらしなく鼻の下を
伸ばしてそう言う吉馬をちょっと睨んだ
。
「手、出すんじゃねーぞ」
「ハイハイ……って、え!?」
俺の返事が予想外だったのか、バッ、と
目を見開きながら俺を見てくる吉馬。
それから、ニタァ、と笑った。
……ウザ。
「えー?何だよ。ちょっとカマかけてみ
たのに……まさか皐クン、杏子ちゃんの
事……」
「好きだ。悪いかよ」
そう言うと、吉馬は一瞬固まってから。


