ニ択(止めた手から)

テレビから、一番最初に現場に着いたアナウンサーが、幾多がばら蒔いたチラシの内容を繰り返し、伝えていた。

もちろん…そのアナウンサーも、幾多の支援者の1人である。

「…」

少年は、幾多の顔を思いだし、唾を飲んだ。 不思議と恐怖は感じなかった。何故か、力が湧いてきた。


次の日、報道の仕方もあり、代議員の死よりも彼の悪行がピックアップされた為に、教室内は変な空気に包まれていた。

少年は、代議員の娘を無視して、教室の一番後ろで1人で座る少女に向かって歩き出した。

「中村くん」

少女は、少年を見て、笑顔をなった。

(そうだ。俺はこの子を守りたい。ずっと、この手で…そばにいて)

少年は笑顔を返しながら、拳を握り締め、改めて誓った。

「今日はいい天気だね」

少年の言葉に、少女は頷いた。

「うん。そうだね」

「ずっと、こんな天気がいいよね」

「うん」

他愛もない会話を続きながら、2人は互いを確認し出した。

(昨日…背中を押さなくてよかった。俺は、選択を間違えかけた)

少年は、幾多の笑顔を思いだしながら、心の中で礼を述べた。