「すみません」 「悪いわけじゃない。ただし、店では出すなよ」 「はい」 「ただいま」 いつもより静かに扉を閉め、ネクタイを緩めると、真っ先に愛美のもとに向かった 「愛美?」 触れた頬は夕方よりも熱く、熱が上がっている 「せーじ?」 「起こしたな。ただいま」 舌足らずなしゃべり方の声も掠れていて、本格的に風邪をひいたようだ 「おかえり」 「熱計ったか?」 首を横に振る愛美の髪を軽く撫でると体温計を取りにリビングに向かった