「何なら、一晩付き合ってもいいですよ。」

「えっ........。」



あ、ダメ!!

今までとは、事情が違うんだった。

言ってしまった後、急に気まずくなって、思わず俯いた。



「好き」は気持ちを近付けるだけじゃなく、遠ざけてしまう気がする。

もしかして稜と私の関係は、少しずつ壊れ始めているのかな?

そんなの、イヤ。

どうすれば、私は陵の特別な存在のままでいられるの..........



「ま、出来るだけ早く帰って来るわ。」

「うん......。」

「じゃ、明日な。」



稜は柔らかな表情で私の背中をポンっと軽く叩いて、ホームへ続く階段を降りて行った........