そう思っていたら、窓を叩く音がした。

稜だ。嬉しい。

急いで窓を開けると、笑顔を浮かべた稜が顔を出している。



「おはよう。」

「おはよう。」

「昨日はよく眠れた?」

「ううん。嬉し過ぎて、あんまり眠れなかった。」

「俺も。」



笑顔で交わすそんな何でもない会話が、昨日まで違って、くすぐったい。

思いが通じるって、ほんとにステキなことなんだな。



「親父と母ちゃん、出かけるって言ってるから、後でこっち来いよ。」

「うん。」



ってことは、二人きり?

何だかすごくドキドキする。

今までだって、数え切れないくらい、そういう機会はあったのに。