「メールしてみれば?」

「うん、そうする。.......あ、何か美味そうな匂いしてんじゃん。」

「今、クッキー焼いてたの。ちょうど良かった。いっぱい焼いたから、稜、食べない?」

「お、くれんの? やった。」

「じゃ、今、持ってくね。」



大量に焼いたクッキーの中から、形が良さそうなのを選んでラッピングする。

それを持って、通い慣れた隣家のチャイムを鳴らすと、インターホンから稜の声がした。



「心優だろ? 誰もいないから、あがってて。」

「うん。」



玄関のドアを開け、稜が二階から下りて来る前に家にあがる。

もはや、勝手知ったる状態になっている隣家。

何処に何があるのかも、だいたいはわかる気がする。