「先生、成海先生は、どこですか?」




私は病棟で、杉町先生に声をかけた。




今日は朝から、隼人の姿を見てない。





「今日は大学に呼ばれて、外に出てるよ。夕方には帰るんじゃないかな。 何か用だった?」



相変わらず、爽やかに答えてくれる。




「はい。書類の確認をしてもらおうと思って…」











結局隼人をつかまえたのは、夕方だった。





みんな帰ってしまった静かな外来で、隼人は一人で机に向かってた。






「先生、書類の最終チェック、お願いします。」




背中に声をかけたけど、振り向かない。




「成海先生!」





「あ? あぁ… 何?」




聞いてなかったんだ。