私はクリスマスの日に帰って来てからアイツと訪ねた場所を思い出していた。

その時アイツは、荒れ放題の竹林と放置耕作地の多いことに愕然としたらしい。


『きっと減反政策の影響だ』
と言っていた。
でも本当は、それだけではないことを知ってはいたようだ。

それは過疎化の進んだ地域性にも原因はあったはずなのだ。


今、国が減反政策を廃止するとのニュースがある。


『国が辞めれば済むって問題じゃない』
そう言いながらアイツは放置耕作地を見つめていた。


『本当に何とかならないのかな?』
私はあの時解ったような口をきいた。


『地産地消って知ってる?』

私は頷いた。


地産地消とは、其処で出来た食べ物を其処で消費する。
との考えだ。

これが一番コストがかからない。
借金地獄の日本にとっては良い方法なのだけど、物流の危機にもなるようだ。




 でもまさか……
そんな身近なことがテーマになるなるて私は考えもしていなかったのだ。


それにこれなら私にも手伝える。
そう思っていた。




 そこで私はいつかテレビで紹介されていたパーマカルチャーをアイツに話してみた。


まず草の根を鎌で切った後に種を撒いて、上に刈った草を乗せておくんだ。

水もあげなくても、立派な野菜のが育つのだ。

一番向くのはレタス。
レタスには虫が付き難い。
だから最初はこれからやったらいいと思った。
春菊も虫が付き難いので、パーマカルチャー向きだと言える。


パーマカルチャーは耕作放置地での確かな戦略になりうる可能性を秘めていると思ったのだ。




 アイツは私の話しに目を輝かせた。

それに気を良くした私は次々とテレビで取り上げていた話題の農作業を紹介していったのだ。


まず、埼玉にある駅の近くの空き地を山羊に雑草処理させている件。


私はその耕作放置地がある程度肥えたら、それを四つに分けて、一年毎に山羊の放置する場所を変えてみたらどうかと提案した。


山羊が一年間雑草を食べてくれることと排出物ににより、有機栽培に適した土地を作り上げる訳だ。


四つに分けたのは理由がある。
茄子や幾つかの野菜は連作を嫌うのだ。

接いだ苗を買えばその問題は解決する。
でも高額で、沢山植えられないのだ。

だから四年で持ち回ることでその問題も解決出来ると思ったのだった。