だから、目的を変えた。
誰でもいい。
タジオから出て来るタレントに会いたいと思ったんだ。
もう放送はしていないと解っていたけど、きっと何かで使われている。
そう考えたのだ。
やはり東京に来たからには有名人に会わなくちゃ。
私はバカに張り切っていた。
ミーハーだと思う。
私は苦笑しながら其処を目指した。
苦しまみれの言い訳だと解ってはいた。
複雑な気持ちのままで私はとりあえず南口方面へと足を進めたた。
もう見もことの出来ないお昼の番組。
それでも歩き出した。
其処へ行くには南口を出て左に曲がれば良い。
でも私は右に曲がっていた。
やはり西口をどうしても確かめたかったのだ。
私は西口に向かって歩き始めた。
その途端に木枯らしが吹いた。
「わあ、寒い。やはり手袋必要だったかな?」
独り言を言いながら、袖を伸ばして手の甲を隠す。
そしてその先に僅かに出た指に息を吹き掛けた。
(東京は暖かいって聞いたんだけどな……)
私はもう一度指先に息を吹き掛けてから、又歩き出した。
街中至るところでクリスマスツリーがある。
私はもうすぐクリスマスだと言うことさえも忘れていた。
いや忘れようとしていたのかも知れない。
就職も決まらない私にはクリスマスも、次にやって来る正月もない気がした。
「これもツリーって言うのかな?」
私は青いペーパーらしいツリーらしき物に目がいった。
でも私の目は、道路の反対側にある大きな丸い物に奪われていた。
蔦に覆われた二つのそれは、互い違いに不気味な姿をさらしていた。
「何だろうあれ?」
私は独り言を呟いた。
「あぁ、あれは確か通風口だったと思うけど」
バス停の前を通りがかった親切な人が教えてくれた。
「通風口ですか? もしかしたら高速道路の上の部分にあるような物ですか?」
「まぁ、そんなとこかな?」
私はさっき歩いていた、山手線のホームから繋がる駅中商店街を思い出していた。
それは大きな口を開けている様に見えた。
(雨の日は大丈夫何だろう? みんなずぶ濡れだったりして)
私はそんなことを思いながら笑っていた。
(あ、私笑ってる)
何故かそれだけで嬉しくなっていた。
「これから何処へ?」
「タレントの出待ち。だけど番組自体……」
同じ歳位だったので私は素直に答えた。
(東京の人は気さくだな)
私はそう思った。
誰でもいい。
タジオから出て来るタレントに会いたいと思ったんだ。
もう放送はしていないと解っていたけど、きっと何かで使われている。
そう考えたのだ。
やはり東京に来たからには有名人に会わなくちゃ。
私はバカに張り切っていた。
ミーハーだと思う。
私は苦笑しながら其処を目指した。
苦しまみれの言い訳だと解ってはいた。
複雑な気持ちのままで私はとりあえず南口方面へと足を進めたた。
もう見もことの出来ないお昼の番組。
それでも歩き出した。
其処へ行くには南口を出て左に曲がれば良い。
でも私は右に曲がっていた。
やはり西口をどうしても確かめたかったのだ。
私は西口に向かって歩き始めた。
その途端に木枯らしが吹いた。
「わあ、寒い。やはり手袋必要だったかな?」
独り言を言いながら、袖を伸ばして手の甲を隠す。
そしてその先に僅かに出た指に息を吹き掛けた。
(東京は暖かいって聞いたんだけどな……)
私はもう一度指先に息を吹き掛けてから、又歩き出した。
街中至るところでクリスマスツリーがある。
私はもうすぐクリスマスだと言うことさえも忘れていた。
いや忘れようとしていたのかも知れない。
就職も決まらない私にはクリスマスも、次にやって来る正月もない気がした。
「これもツリーって言うのかな?」
私は青いペーパーらしいツリーらしき物に目がいった。
でも私の目は、道路の反対側にある大きな丸い物に奪われていた。
蔦に覆われた二つのそれは、互い違いに不気味な姿をさらしていた。
「何だろうあれ?」
私は独り言を呟いた。
「あぁ、あれは確か通風口だったと思うけど」
バス停の前を通りがかった親切な人が教えてくれた。
「通風口ですか? もしかしたら高速道路の上の部分にあるような物ですか?」
「まぁ、そんなとこかな?」
私はさっき歩いていた、山手線のホームから繋がる駅中商店街を思い出していた。
それは大きな口を開けている様に見えた。
(雨の日は大丈夫何だろう? みんなずぶ濡れだったりして)
私はそんなことを思いながら笑っていた。
(あ、私笑ってる)
何故かそれだけで嬉しくなっていた。
「これから何処へ?」
「タレントの出待ち。だけど番組自体……」
同じ歳位だったので私は素直に答えた。
(東京の人は気さくだな)
私はそう思った。


