確かにそうだろう。
でも玲にとっては屁理屈でも何でもなく
純粋に弟を想っての事だった。

「良と玲を入れ替えても、
玲になった良は恋を叶えられていない
じゃないか!」
「そうだけど…変わると思った…」
「結末が?運命が?なにが?」
「良の…心…が」

良は生前も玲を憎んでいた。
小夜の隣にいる玲を、実の兄を
殺したいくらいに憎んでいた。

死ぬ直前も良は玲を憎んでいた…
玲は俺を憎んでも小夜は渡さないと
なんども良に伝えた。

だが…良は…


『いいよね…兄さんは…
なんでも欲しいものが手に入って…
俺も…兄さんになれば変わるのかな…』

虚ろな目でそう言った良を
いくら説得しようとも、
もう玲の声は届かなかった。


「良は俺の所為で壊れたんだ…
だから、屁理屈でも何でもなく
純粋に玲と良を入れ替えて
良を満足させようと思った…
でも、俺が良になって小夜と付き合っても
良は満足しなかった…
だから俺は良に“特別”じゃないって
わかって欲しかった…」