「化け猫は…気持ち悪がられたさ…」

『二股の猫…?気持ち悪い…』
『うわっ…何だこの猫…!』

「学校に辿り着いた時は
もう地獄だと思ったね…」

玲は黒猫の話を静かに聞いていた。
これは夢じゃない。
玲はいつしか夢だと思わなくなっていた。

「なんで…死者を蘇らせたんだ…?」
「…深い意味はないさ…でも…
君は願ったんじゃないかい?
もう一度、弟に会いたい。ってさ」

死んでしまった良…
俺の所為で恋を叶えられなかった…弟…
もう一度会えるなら…
ちゃんと話合いたかった。

「でも君はさ…
『弟』になりすましてしまったんだ…
それは僕の予想外だったよ…
良を蘇らせるより前に、
もう良が存在してしまっていた」

玲は良を思って、良の代わりをした。
だが、その思いやりで良は
また恋を叶える事が出来なかった。

「だから、お前が死ねば良かったんだ…」
「俺は死んだんだ…」
「?」
「良が死んだあの日に…俺も死んだ…」
「ああ…君が良になったから?
でもそれは屁理屈だ。
君はあくまで良の代わりにしかならない」

そうだろう?と黒猫は笑った。