「くそっ…いねーな…」
そもそも、
遊園地付近に
猫なんてそうそういないだろう。

それでも賢明に探したが
それらしき物は見つからない…。
するとある家族の声が聞こえた。

「ねぇねぇ!まま!猫さん!」
「ほんと!真っ黒ねー!」
「真っ黒…?」
「でも可哀想ね…
親に捨てられたんだわ」

玲は家族がいなくなった隙に
まだ小さい子猫を
男性トイレに連れて行き、
便器に入れた。

「ごめんなさい…ごめんなさい…
許して…ごめんな…」

間も無く子猫はピクリとも
動かなくなった。
玲は猫をそのままにして
男性トイレから出た。
「今何時だ!?」
時計をみると、
【10時59分27秒】を指していた。
「危ねえ…」

罪悪感を感じながらも
玲は園内に戻った。