「ん?んー、いいや。今日家に帰ってきたら教えてあげる」

だから早く帰ってきてね

ふわりとした笑顔を向けてくるしるふに

「なんだそれ」

と、少し怪訝そうに返す

「そうでもしないと今日も帰ってこないでしょ?そんなことしてると祈に愛から来る恨みを抱かれるよ」

「こないだはちゃんと帰ったろう」

仕事が忙しい上にERを見ていたりするからなんだかんだで海斗は家に帰ってこない

いや、帰っては来るのか

「祈が寝てからね」

嫌味たっぷりに即答するしるふに静かな視線を送る

「こうやって二日に一回くらい来るんだ。せっかく仕事を終わらせて帰ろうと思っても実行できない」

鶏が先か、卵が先か

海斗が帰らないからしるふが顔を出すのか、しるふが顔を出すから仕事が終わらずに帰らないのか

「もう、だったらここにベッドでも拵えちゃえばいいじゃない」

すねたひと言に、昔も同じようなことを言われたな、と懐かしさを覚える

「来週の全体会議が終われば、少しは暇になるよ」

それまでは勘弁