求人情報紙を眺め、

履歴書を書き、片っ端から電話をした。



職種は問わない。けれど勤務地だけは街中で。


街中でないと、今のようにおいそれとそらに会えなくなってしまうからだ。いちいち交通費がかかるのは痛い。



面接、面接、面接。




“ご縁がなかったということで―”

“見送らせて頂きます”




見慣れたテンプレートな文面。


そのたびに、“わたしはいらない人間なんじゃないか”と思ってしまう。



そして落ち込むたびに、そらは優しく頭を撫でて慰めてくれた。




「俺には葵が必要だよ。それだけじゃだめ?」




涙が出そうなほど暖かい言葉だけど、甘えることはできなかった。



そらと同じ位置に立ちたい。

1人立ちしてるそらに、相応しい人間になりたい。




ただただ、その一心だった。