学校は、“社員はいかに素晴らしいか”“フリーターは生きていくのにどれだけ不利か”というのをずっと生徒に言い聞かせた。



洗脳じみたその行為に犯され、「フリーターになったら死ぬ」と思いこむ同級生も少なくなかった。



けれどフリーターだって生きていけるし、そりゃできれば社員の方が良いだろうけど全ての会社が素晴らしい企業かといったらそうでもない世の中。




ならばわたしは自分のスタンスは譲らずに生きてゆこう。



自身の“理想”の型に嵌った自分が進む道ならば、きっとどんな道も“理想“になりうるだろう。


そもそもあんな紙っぺら一枚と数分の面接でわたしを知ろうなんざ馬鹿げた話。

わたしという人間は、その程度で知れるような浅はかな人間ではございません。





ということを的確丁寧に担任に伝えたら、「馬鹿だろお前」と一喝された。



担任はわたしに呆れかえり、強制的に面談を終了し、最後に一言こう言った。


“お前は自分で思ってるほど深みのある人間じゃないぞ”と。





そこからなにも変わらず月日が流れ、卒業式を迎えてしまった。