最初は、真っ白な空間だった。
「白はやめてくれ、黒がいい」
私がそう口にすれば、辺りは黒一色となる。
光源なければ、眼球には何も映らないはずが、自身の腕と足を見る。
膝を抱え、背を丸め、俯く姿勢は、現実に絶望する証。
死に損ないの生き損ない、自分の姿さえ見えなければ闇と同化し消えるだろうかと思えど――耳鳴りがうるさい。
無音。言葉はおかしいが、私にはこの無音が“耳をつんざく”ように思えた。
静かなのにうるさい。鼓膜を破りたくなるほど。
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