何とか冷静になると、エレベーターから少し離れた場所にある、飾りっ気のないシンプルな白いドアの前まで進む。 ドアの横にあるインターフォンを鳴らすと、少ししてから、カシャッという音が聞こえてきた。 『鍵開けてるから、入ってきて』 「・・・・・」 覇気のない声の後、またカシャッと音がして、インターフォンが沈黙する。 ノブに手を掛けて、ゆっくり手前に引くとドアがあっさりと開く。なかに入れば、そこには一匹のネコがちまっと座っていた。