この高校の吹奏楽部は県内でもかなりレベルが高い。

だからこそレギュラーメンバーの選抜にはシビアだ。

年功序列という言葉はなく、実力がある人がメンバーに選ばれている。


和希くんは1年だけど、きっとメンバーに選ばれるから、私も頑張らないと!!


「佐々木さん」


「は、はいっ」


意気込んでいるところで、コンサートマスターの先輩に名前を呼ばれ、驚きと緊張で私の背筋はピンと伸びる。


「さっきのところはもう少し抑えて吹いてね」


「……はい、すみません」


恥ずかしっ……。