冷たい世界の温かい者達






「なぁんだ、よかったぁ」




『………何が?』



「いやぁ?こっちの話~!」



衣緒は適当に流して目を輝かせた。





「もうすぐ体育祭だねっ」



『………時期おかしくない?』




確かにそうだ。



だが、年間行事表を見てみるとどうも体育祭は真夏にやるらしい。




まぁ、まだ2週間先だが。




その後にテストで、夏休みにすぐ入る。





夏休みといっても補習で潰れる奴も居るけどな。





『………へぇ、体育祭かぁ』




「何? 嫌い?」



『………怠い』



「そんなこと言わないのよ~由薇ちゃん。




将来の為に体力つけなきゃ。」





……


『………死ねよ、お前』




由薇は心底嫌そうに顔を歪めて成一に溜息を吐いた。




ケラケラと笑う成一に呆れたような視線を送る影助は由薇に視線を向けた。




「由薇は、走るの得意なのか?」




『……まぁまぁ、かな』




思い出すみたいに目を細めて言った由薇の口元には薄らと皮肉気な嘲笑が浮かべられていた。





『みんなはどうなんだ?』




「速い方、なんじゃないかな?」



千尋はポツンと呟いて、衣緒は元気いっぱいに「速いよ!」と答えた。





『………そう。



じゃぁ、D組は安泰ね』





由薇は微笑を含んで目を伏せた。










………何で、そんなに悲しそうなんだよ?