冷たい世界の温かい者達





静まり返った部屋にピッと電子音を響かせて、由薇は電話を切った。



『ごめん、帰る』



すくっと立ち上がった由薇は俺に目を向けていた。





「………家、に……」


『うん、最近こっちに来すぎてて放ったらかしてちゃったみたい』



悲しそうに呟いた由薇は『ごめんね、急で』と苦々しく笑った。




「……寛晃呼んどけ」



「う、うん………」



俺も立ち上がって歩き出すと、由薇は申し訳なさそうに俺の後ろを小走りについてきた。




「………」



『………』




車内は沈黙に包まれていた。




どことなく息苦しいのは自分なのだろうか。



重苦しい空気に居心地が悪く感じていると、由薇のマンションの前に着いていた。




『………ありがとう。



今回は急いでるから無理だけど、また今度トキヤに会わせるね』






男の紹介なんて、すんなよ。






『じゃぁね。』





手を振った由薇の後ろ姿を、ガラスの向こうに隠れてしまうまでジッと見ていた。








「………」




無言で倉庫に戻ってきた俺に影助は噴いた。





「朔………顔が嫉妬で歪んでるぞ」



「………」


「由薇ちんに男の影!」






………勝手に言ってろ。




「………明日にでも会わせてくれないかな?」




千尋は苦笑しながら言った。




「明日頼むー」




ニコニコ笑ってる衣緒の頬が少し引き攣ってたことには気づかないふりにしておこう。