ピリリリ
響いた電子音が、勝手に働いていた俺の思考の終わりを告げた。
『あ…ごめん、私だ………』
「ここで出られるならでていいよ?」
千尋はふわりと笑ってそう言った。
まぁ、聞かれたくないなら外に出た方がいいけどな。
『うん………じゃぁここで出る』
小さく頷いた由薇は着ていたパーカーのポケットからケータイを取り出した。
『はい………
…トキヤ?』
“トキヤ”………?
だ、れだソレ………
突然聞いた初めての名前にらしくもなく動揺した。
『………ご飯? 冷蔵庫に牛乳とか入ってるでしょ?
………それは冷蔵庫の横。 うん…バカ?
ちょっとは自分の家のことぐらい把握してよ』
自分の家………?
一緒に…住んでるのか………?
『………今から帰る。待ってて。
うん……わかってる。 放ったらかしてごめん』
帰る………?
そいつの、為に………?

