冷たい世界の温かい者達





「んじゃ、俺等行きますね」



明がニコリと笑って袋をくしゃくしゃっと丸め込んだ。




浩も由薇の頭をくしゃっと撫でてから頭を下げてドアを開けた。




『浩』




出ていってドアを閉めようとした浩を由薇が呼んだ。




『ありがと』





「気にすんな」





軽く笑った浩に微笑み返した由薇に心がドス黒く染まった。




「……」





イライラして飯を黙って食べてると、横で影助が俺を見て溜息を吐いた。





ゲシッと足を蹴ってやると、足を押さえて俯いていた。




『今日は帰るよ』




ドリンクゼリーの空を袋に入れてあくびを零した。





「……何でだ」



『んー、用事』




口角を怪しく上げた由薇に、言ってもらえない焦燥感に襲われた。



由薇が出て行って衣緒がキャーキャーと部屋を走り回る。


……多分、由薇に嫌われたくないからおとなしくしていたんだろ。



「……」



無言で立ち上がると、影助は「どこに行くんだ?」と言って来た。




「……帰る」




「えー? もう?



まぁ、いっかぁ。 由薇ちんにも会ったしね〜」





衣緒は笑って立ち上がった。






結局、全員帰ることになって車を呼んだ。









「……寛晃、悪いな」




「いや、大丈夫っすよ」




いつも運転手やってる寛晃を突然呼び出した事に謝ると、寛晃は愛想良くニコリと笑った。