冷たい世界の温かい者達







『…お前等、飯はいいのか?』



いつの間に移動してきたのやら、由薇は俺の隣に腰を下ろした。



「あー…面倒くせぇな……」



成一がポツリと呟くと、由薇はどこかに電話をかけた。




『あー、私。


お前の憧れが腹すかせてんぞ』




「〜〜〜!」



『ん、鍵は持ってるだろ?』




「〜〜〜、〜〜〜〜〜!」



『あぁ……うるさいことだけはわかった。


5分で来てやれ』




ブチッと無理矢理切った由薇は目を細めて溜息を吐いた。



『……うるさいな…あいつ等は』



「あいつ等?」




ガチャッ



「飯持って来ましたよ」


そこには、明が居た。



……さっき電話しただろ。





なんでそんに早いんだよ。





そんなことを考えてると、明の後ろから浩が出て来て、由薇に袋を渡した。




「いつものな」


『……別に私はいいのに』



「たまには食え。体に悪い」




『……』



浩にそう言われた由薇は黙ってそれを膝に置いた。



……そんなに親しいのか。



心が黒くなるのを感じながらも、千尋から弁当を受け取った。



衣緒はもう既にがっついてるし、影助も弁当を開けた。



由薇も浩にありがとう、と言いながら袋の中から栄養補給ドリンクゼリーを飲み始めた。




……それかよ。


ジッと見てると、由薇は視線に気づいて俺を見た。




『何だ?』



「……別に」



浩の方が由薇のことを知ってることに嫉妬した。





……何て言えるかバカ。