「おい。 おい。」
「……んだよ…」
「お前こんな所で何してたんだ?」
「……」
は?
寝ていたらしい体を起こすと、見慣れた庭が目に入った。
ふわりふわりと体に纏わりつくのはサラの毛らしい。
ちなみにサラは実家が飼ってるゴールデンレトリーバー。 そしてオス。
クンクンと鳴きながら寄って来るサラの姿と見慣れた庭の光景が俺を混乱させた。
「……何で俺ここに…」
「……その顔だと、お前が構ってた神夜の女に捨てられたか?」
「……捨てられてねぇよ」
でも、寝た時はーーー…
てか、
「何で親父、そのこと知ってんだよ」
「嫌でも耳に入ってくる。
少し種類が違っても裏の社会には変わりない」
これは親父。 柏原財閥の社長代表。
「……」
神夜の人間を使って俺を運んだのか…
何で、……
「……お前も女に酷な選択をさせるようになったなぁ?
女は神夜に生まれた人間として踏ん張ってる。 財閥の半表社会に生まれたお前は女の何の力にもなれない。
女がお前の役に立てることもない。
それを悟った女が……
別れを決めたんだろう?」
着ていたコートを抜いでスーツになった親父は俺にポケットに忍ばせていたらしいメモリースティックを俺に渡した。
「ただ、お前等が社会を変えるほど愛し合っていると言うのなら、俺は力を貸してやろう。
だが、それは究極の選択を迫られた時。
どうしても彼女を助けられなかった時。
どうしても……それでも彼女を助けたい時に使え」
親父の顔は無表情ながらも真剣で、渡されたメモリースティックはまだ熱を放っていた。
「……じゃ、俺は仕事に行く」
……嘘つけよ。
普段帰らねぇ俺でも知ってんぞ。
今日……第三日曜は月の唯一の休みだって……な。

