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「あぁ~~~っ‼
千尋バカなの?!徹夜なんて眠すぎて死にそうなんですけど?!」
「……死ねば?」
「千尋くん?!」
朝から騒がしい衣緒の声は耳にキンキンと突き刺さる。
「はぁ……。
捜したけど、結局何も無かったね」
まぁ、最強を誇った冷蝶のことだ。
当たり前だろう。
最初から収穫があるかもなんて期待無かったし。
『……何やってんだお前等』
凛とした声が騒がしい衣緒の声に勝り、振り向くと黒髪のチビ。
「……ちっさいな」
『うるさい。 人のコンプレックスを平気で言うとは。
お前モテなかっただろ』
……
「……由薇、朔の顔をよ~く見て?」
『……』
じっと俺を見ている視線を感じていると、千尋は再び口を開いた。
「……顔良くない?」
『……顔良くても中身ダメだったらモテないだろ』
あぁ、こいつはこんな奴だった。
気まぐれで天然で猫でバカで。
……俺は、そんなこいつに
惚れてたのか。

