「衣緒おっそ‼」
「いつものことでしょ。 何を今更」
「いや、それにしても遅いだろ‼」
少しイライラしたように言ってタバコを吸う成一。
成一の様子を見て苦く笑う千尋も困ったように眉を下げた。
「……やっぱ俺ーー」
成一が口を開いて立ち上がった時、タイミング良く扉が開いた。
「ただいまー!
あれ?何、成一立ってんの?あ、便所?ならサッサと行きなよ。
あ、ビッグニュースだよー、ビッグニュース!」
「……何だよ」
額に青筋を浮かべながら静かに先を促す成一。
その様子に呆れたように溜息を吐いた影助は衣緒に向き直った。
「で、何なんだ」
「あのねー!
こっから近くの廃墟に溜まってた族1コ冷蝶が潰したってー」
「あ゛?」
聞こえた言葉に低く呟くと、衣緒は目を細めた。
「……ホントだよ。
その族が強姦しようとしてたから潰したんだって」
強姦……
近くの廃墟……
「…狂鬼か……」
千尋が呟いた言葉に、俺も頷いた。
「……でも、これで明確になったじゃん」
千尋は不気味に口角を上げてパソコンを閉じた。
「ーーーこの街に、冷蝶が居るって」

