「あー暇だなぁ。
今日何かすることあるー?」
衣緒は心底つまらなさそうに言って由薇の顔を覗き込んだ。
『………梶は子どもみたいだな』
「衣緒って読んでよ」
『………衣緒?』
「うん!」
二カッと笑った衣緒に便乗して成一も笑った。
「俺も成一でいい」
「あ、俺も千尋でいいよ」
そう言った千尋と成一にもこくんと頷いた由薇は俺と影助を見た。
………まぁ、いいか。
頷いてやると、由薇は口元を緩ませた。
『………』
暫くポツポツと話していると、由薇が携帯を開いて立ち上がった。
「どこ行くの?」
千尋が不思議そうに聞くと、由薇は『保健室』と呟いた。
保健室?
何でまた………
『用事があるの』
そう言った由薇は手を振ってサッサと屋上を出て行った。
由薇が出て行って数分後にチャイムが鳴り、昼休みになった。
「購買行こうよー」
「場所わかんのか?」
「千尋の地図あるでしょー?」
「捨てた」
「うそん!?」
バカらしい会話をしながら、何だかんだで屋上を出た。
とりあえず階段を1番下まで下りると、少し行った所に【保健室】というプレートがあった。
「ついでに迎えに行ったら?」
と言った千尋に衣緒が笑顔で「行く!」と言い出し、仕方なく……まぁ、自主的に保健室のドアまで歩いた。

