冷たい世界の温かい者達






「おっはよー。あ!由薇ちんも来てたんだぁ」



『おはよ』


「はよ」



衣緒がウキウキルンルンと入って来て静かな心地よい空気はどこかにとんで騒がしくなった。




まぁ、心地よいのには変わりないが。




「情報は入ったか?」



「ぜーんぜん。


昨日は徹夜までしたのに」



薄らと目の下に隈をつくった千尋。




影助も同じく目に隈をつくっていた。





2人を見た由薇は、考えるように顎に手を置いて暫く停止してから立ち上がった。



「あれ?どっか行くのー?」



成一が緩くヘラヘラしながら聞くと、由薇は小さく『あぁ、』と返事して屋上から出て行った。




どこ行ったんだろうか?




まぁ、猫のように気まぐれな奴だから気にすることもないか。




一言二言喋って、全員押し黙る。





まぁ、然程喋らない。



悪い雰囲気にはならないが、あまり会話が無い。



由薇の前だと何かしら誰かが突っかかるから、会話が成立するだけだ。





ガチャ、とまた音が鳴って扉に目を向けるとコーヒーの缶を2個持った由薇が入って来るところだった。



「佐原、斎藤」



名字で呼ぶのに変な気分になるが、千尋と影助にコーヒーを投げ渡した。




『目、それで冷やしとけ』




充血した目の疲れを軽減させる為だろうか。





気遣いだけはできるんだな。




「あ、ありがとう…」


「………サンキュ」




『ん。』



ドカッと衣緒の横に座る由薇を見て、何故だがイラっとした。