冷たい世界の温かい者達







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「んぐ……」





かはっ、と喉に何かが詰まったような感覚がして飛び起きる。





収まった時に、少し思考が働き出して状況を楽観視した。






…………あぁ、落ちて…助かった、のか。






由薇を抱きしめている温かさは腕にある。





ゆっくり目を開けると、やはり由薇の赤みがかった黒髪が視界に入った。






だが……妙に、全身が温かい。







背中は温もりとふさふさと…いや、ごわごわとした毛の塊みたいのが……










……あ?









「ぐるぉぉ……」




「?!」




驚いてそこから飛び起きて距離を取る。






「熊……」





グルル、となぜか穏やかに聞こえる鳴き声を発する熊は、三日月……三日月クマ、だったか?





『ん……』



飛びのいた勢いで起きたのか、由薇は小さく声を漏らして目を薄く開けた。







「由薇? 起きたか?」




『朔……? ………あぁ、川に落ちたんだっけか?』





額を押さえた由薇は眉を寄せてから目を開いて、驚いた表情をした。




『ぁ、クマ』





……反応薄っす。




「この三日月クマ知ってんのか?」




『……何言ってんの?




月の輪熊でしょ』





…………、……




「……で、いつも別荘に居るクマか?」




『話反らしたな馬鹿野郎。 まぁ、いい。




こいつはいい奴だ』




ポンポン、と近寄って手を叩いた由薇にクマは擦り寄るように屈んだ。




「グルル……」




『気性も穏やかでな…



手負いだったところを助けたら懐かれたんだ』









……クマと、仲良くなるモンなのか?





少し距離を置いたままの俺に由薇は手招きした。




『こい。



どうせ、こいつが案内してくれる』



「何処へだよ?」




『別荘への道だ』




「土地主、わかんねぇのかよ」




『……土地主が全てだと思うなよ』





ギロリと睨んだ由薇に笑うと、クマはのっそりと歩き始めた。