冷たい世界の温かい者達





『………見たことあるような無いような顔だな』




「うん、思いっきり朝会ってるよね」





………


何とも言えない。



素なのか、からかっているのか。




まぁ、面倒くさいからどちらでもいいのだけれど。




『あぁ、派手な転入生か』



……あながち間違ってもないが、その捉えられ方にも少し不満を持った。





『同じクラスだったとはな。』




この学校は学級ごとにカラーがあり、F組まで分けられている。




ネクタイにその色の学年の形をしたバッジをつける。





まぁ、ダサくもないから仕方なくつけているが。





女も1の形のオレンジ色のバッジをつけていた。




「僕達のこと知ってるの?」



衣緒がタバコを携帯灰皿に押し付けながら首を傾げた。




『こんな季節に転入生なんて珍しかったしな。


それに、明と浩もワクワクしているように見えたし。



まぁ、どちらにしろお前達は珍しかったのだ』




喋り方が独特と言うか…何と言うか。





女はポケットからタバコを取り出して吸い始めた。









……待て。






「お前、タバコ吸うのか?」



そう聞くと、女は咥えたタバコを上下に揺らしながら『ダメなのか?』と言った。




肝が座っている奴だ。



俺たちに怯みもしなければ遠慮もない。





まぁ、自身過剰と言われてもしょうがないが、俺達はそれなりに有名だから。




何かと違う扱いを受けてたから、それが少し新鮮だった。





「……お前、名前は?」




静かに聞くと、そんな俺に驚いたような視線を送ってくる面々。




女は目は見えないが口角を下げた。




『……礼儀のなってない奴だな。



自己紹介は自分からだろう?』





俺達さえ、知らないのか。




本当に、読めない奴だ。





「柏原 朔。



日影で座り込んでるのは佐原 影助。



コレは斎藤千尋。


あっちの子供っぽいのが梶 衣緒。


その隣が楔 成一だ。」




『ご丁寧にありがとう。



私は神夜 由薇-Kamiya Yura-だ。


お前等も屋上を溜まりとするようだから顔を見合わせることになりそうだな』





そう言った瞬間、奴の口角が上がった。





その妖艶な笑みに














全身が総毛立つようだった。