「山って言ってもあんまりだねー」 衣緒はそう言ってぐるりと周りを見渡した。 周りには木。 木ばっかり。 傾斜も緩やかで、別に登っててエラい訳でもない。 『もうすぐ上だ』 「……え?! そんなすぐ着いちゃうの~…?」 しょぼん、と効果音の付きそうな程に落胆した衣緒は、リュックを持つ手に力を込めた。 『……大丈夫、綺麗だし、楽しい』 “楽しい?” 首を傾げると、由薇はおかしそうにケラケラと笑った。